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2016.07.14

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レビュー

村上龍「69 sixty-nine」17歳の青春を描く底抜けに明るい自伝小説

 

 

“たとえ退学になってもオレはお前らにだけは負けないぞ、一生、オレの楽しい笑い声を聞かせてやる・・・。”

 

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あらすじ

ロックミュージックと学生運動が盛んな1969年、長崎・佐世保。進学高校の3年生ケンは活発な問題児で、女子生徒の気を惹きたい一心で仲間と学校をバリケード封鎖する。捕まって謹慎処分を受けてもエネルギーは止まらない。今度は街を挙げての盛大なフェスティバルの準備を始めた。

 

とにかく笑える

1969年のことを書いた、1987年の小説。

めちゃくちゃ笑える。

龍先生。またしても。これを読んでから完全にハマった。

村上龍作品を読んだことない人にはこれをまずおすすめしたい。

 

大体の作品のテーマは暴力かドラッグかSMかテロか反体制かって感じでハードなんだけど、

69 sixty-nineは別。

楽。面白い。超読みやすい。何度でも読み返せる。読んでてやる気が出てくる。

タイトルがタイトルだし、俺が買った文庫の表紙はショッキングピンクだし、どうせまたハードコアなやつだろうって思ってた。

違う。

ハジける青春。

 

「おはよう」
と、その涼し気な声は聞こえた。登校時の、学校前の、坂道、振り向くと、そこにはあの仔鹿のバンビがいた。松井和子だった。震えた。
「あ、おはよう」
と僕は答えてにこやかに笑い松井和子の肩に手を回して髪を撫でながら、というのは嘘で、口がきけなかった。

こういう「〜というのは嘘で、」みたいなのがよく出てくる。ウブで爽やかで甘酸っぱい。

 

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要所でこういう感じで単語が強調される。

 

読んでて腹がよじれるほど笑った小説は唯一これだけ。

ビートたけしが言ってた「振り子の法則」を思い出した。

振り子のように生きないと。10の暴力は10の愛に変わる可能性がある。振り子の片方を高く上げれば、反対側にも高く上がる。人をもっと笑わせるためにひどいことを考えれば、反動で笑わせられる。人を嫌えばその反動で愛は深くなる。

 

つまり、気分を害するようなエグい事を言える人は、向きが変わればよっぽど笑える事だって言えるということ。

いやー、もっと早くこの本に出会いたかった。マイバイブル。

 

実体験?

文体は軽いし方言きついし全体的に可笑しいけど、随所に力強いメッセージが込められてる。

実体験が基になってるからかな。追憶しながら書いてるって感じ。

最初の書き出しに「あの頃の仲間たちに…」と書いてあり、終盤は登場人物一人一人の「その後」が書いてある。

中に「同級生が米軍基地の黒人と付き合いだす」って小話があるんだけど、これが少し面白い。

米兵に日本の女が奪われるのを見て育ってるから、村上龍は米兵を毛嫌いしてるはずなのに、高校卒業後の東京・福生の時(限りなく透明に近いブルー)ではドラッグと金欲しさに日本の女を米兵に斡旋してる。

なにやっとんねん。。

でもそういうカルマみたいなのってあるよね。

 

あとがきを一部

あとがきに良いことが書いてあるから紹介しよう。

楽しんで生きないのは、罪なことだ。わたしは、高校時代にわたしを傷つけた教師のことを今でも忘れていない。
・・・
彼らは人間を家畜へと変える仕事を飽きずに続ける「退屈」の象徴だった。
・・・
唯一の復讐の方法は、彼らよりも楽しく生きることだと思う。楽しく生きるためにはエネルギーがいる。戦いである。わたしはその戦いを今も続けている。

 

楽しく生きるためにはエネルギーがいる。まちがいねえ。

ぜひとも読んだ方がいいよ。

 

69 sixty nine (文春文庫)

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