大原港から車で10分くらい、西表島の道路を南に進むとそれより先はジャングルになっていて道は終わる。そこに南風見田(はえみだ)の浜という海がある。
西表島でいくつかあるビーチの中でも南風見田の浜はロングビーチで眺めも海も綺麗なんだけど、交通の不便さなのか漂着物の多さなのか人気はほとんどない。そんな海。
一昔前の西表島はジャングルの中で自給自足やサバイバルキャンプをやる人が全国から集まっていて、南風見田の浜は未開ジャングルへの玄関口の一つだった。圧倒的ワイルドライフを楽しめるそうだけど、イノシシに襲われたりサメに食われたり毒ヘビに噛まれたり崖から落ちたりで帰ってこれない人が相次いでしまったために、今は入るには島の管理局に届出をして許可を貰わないといけないことになっている。
そして、南風見田の浜にはそんなハードな人たちだけでなく、自然大好きのヒッピーが集まったりもする。どういうことか?海岸沿いをずっと奥まで進んで誰もいないビーチにテントとハンモックを張り、世のことをすべて忘れて原始のままの自然を堪能して過ごすのだ。
そんなヒッピーコミューン状態を放って置くわけにはいかず、ビーチのそばに「南風見田キャンプ場」が作られた。原則、キャンプはここでやれという。
キャンプ場にドラム缶風呂があることを知って、憧れていた俺はソロキャンプに行った。
利用料1日500円で、電話を入れればテントと寝袋がレンタルできる。管理の人がどこからか車でやって来て、テントを建ててまた戻っていく。土曜日に行ったけど他に人はいなくて独占状態だった。
管理のおじいが、火を使うなら周りに落ちてる木を使っていいこと、蛇口の水は山の水だから慣れてないと当たることを教えてくれた。
炊事場で飯の準備をしていたら真っ黒坊主の半裸男が現れた。一目で分かるヒッピー。俺の隣で茶色く濁った水道水を飲み出して、商店で買っといた2Lの水を分けてあげたら仲良くなって、風呂に入って飯食って酒飲んだ。
ゴンと名乗ったその男は国内は季節労働の住み込みをしに北から南に行き、国外では路上ダンスパフォーマンスでお金を稼ぎながら世界を放浪しているらしい。今は西表島の住み込みを終えて、ジャングルを縦断したり海沿いでテント生活している。キャンプ場に水を汲みに来たところだったみたい。
自分のやりたいことを誤魔化さずにいればどこに行っても必ず面白い出会いがあるのが人生の上手くできたところだって語ってた。世界中巡り巡って5ヶ国語喋れるようになったらしい。確かにゴンが喋る日本語はもはやニュートラルだった。
ゴンの話はとにかく面白くてアウトローで、写真に写るのはNGだった。風貌はテリーともののけのシシ神様を足して2で割ったような感じと言えば伝わり易いかもしれない。
肉魚食わないヨガ瞑想サイケデリック好き、年齢については「僕は日々新しい人生を生きている」と答えた。次の日は朝からハンモックでチルして昼過ぎに石垣に帰った。
…
こんな感じで西表の南風見田でヒッピーに会えた。
沖縄旅行を考えてる人は西表島がおすすめです。普通にツアーもたくさんあります。俺は後日友人とまたキャンプしに行ったくらい、ワイルドキャンプしたいです。ドープです。おすすめです。
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