2017.09.14
近年、格安航空会社(LCC=Low Cost Carrier)のおかげでかなり安く飛行機に乗れるようになった。
日本では2012年の”LCC元年”にピーチやジェットスターが就航し、沖縄には数千円で行けるし、ヨーロッパだって往復数万円で行けるようになった。
1ヶ月アルバイトすれば、誰だってサクッとヨーロッパに行けちゃう時代だ。
そんな格安航空券は大体経由国で乗り継ぎをしないといけなかったりで安い分デメリットがあるように思われがちだが、使いようによっては安い上にプラス1カ国旅行出来ちゃう超お得なチケットだということをここで紹介したい。
レガシー・キャリア(日本で言えばANAやJAL)の航空運賃に比べると、LCCの料金は破格だ。
例えば、俺が次行く予定のアフリカのモロッコだって時期によっては往復5万円ちょいで行けちゃう。
なぜこんなにもLCCは飛行機に安く乗せてくれるのかを簡潔にまとめると以下のような仕組みがある。
・無料サービスの廃止や縮小
→機内食や毛布貸し出しのサービスを有料にする、もしくはなくす
→受託手荷物の条件が厳しい(荷物が減って燃料費削減にもなる)
・機内の設備を簡素化(「ノーフリル」(=無装飾)とも呼ばれる)
→モニターをなくしたり素材が良くない座席にグレードダウン
→座席もぎゅうぎゅう詰めに密度を増やして乗客を増やす
・空港の使用料を抑える
→いわゆる「沖止め」を行い、ボーディングブリッジ(ターミナルビルから直接飛行機につながっているトンネル)を使わずに乗客をバスで飛行機の元まで運んでタラップ(動く階段みたいな奴)を使用しての搭乗
→大空港を使用せず地方の中小空港の使用
→設備を簡素化した格安航空会社専用ターミナルの利用
・人件費を抑える
→訓練コストカットのための中途採用
→運行機種を統一し、パイロット・添乗員の訓練コストカット、整備のコストカット
→インターネットや自動チェックイン機によるセルフチェックインの推進
→代理店を通さずにインターネット経由での航空券の直売
などなど
他にも、座席には掃除しやすい合成皮革などを使用して機内清掃は乗務員自身も行い人件費カット、などの工夫もあって、もしかしたら働く側には若干ブラックな背景が潜んでいるのもしれない。
そういえば、初めてLCCを使って石垣島に飛んだ時、那覇での乗り換えターミナルが驚くほど簡素で驚いた。
今年6月に石垣にきた時も夜行バスで大阪で経由して(関東から大阪までの夜行バスは最安1700円)関空からLCCのピーチを使った。
ちなみに格安航空券は「skyscanner」というサイトを使って検索・購入するのがオススメ。
今や旅好きや旅行好きのほとんどが知っている定番サイトで、いくつものプロバイダーを比較して最安値のチケットを探し出してくれる。
さて、本題に入ると、サービスの質は落ちるかもしれないけど、格安航空券は値段が安い上に、目的地に加えて経由国にも降り立つことができる。つまり、最高だ。
去年一年間は10カ国を旅し、それ以前の旅や旅行を含めて計28カ国を回ってきた中で、「格安航空券って超絶お得やん」という結論に俺は至った。
確かに、目的地に早く着くことが目的で、体力的な問題でなるべく短いフライト時間で済ませたくて、お金に余裕がある人なら、値段が張っても直航便の方がいいのかもしれない。
でも、旅や旅行がしたくて、過程そのものに意味を見出していて、より多くの景色を見たいのなら、ついでに経由国として降り立つことになった国の空港から街に出るのはアリだと思う。
アリというか、「あざすっ」な感じだ。チケットは安い上にもう1カ国半日か1日観光できてしまう格安航空券に感謝である。
空港から街へ出るためにはビザが必要な国もあったりするので事前の確認は必要だ。でも、世界屈指の信用力を持つ日本のパスポートはかなり融通が利く。(だからこそ盗まれやすかったりもする)
実際、格安航空券の乗り換えのおかげで俺はこんな体験をしてきた。
2015年末から年始にかけて南インドに行った時は行き帰りがスリランカ乗り換えで、その間に空港から街に出て計2日間スリランカまで楽しめた。
2016年5月にタイからフランスに行った時にはインドのムンバイを経由して、乗り換え中の朝から夜までムンバイの街を楽しみ尽くした。インドはビザを取るのが面倒臭いで有名なんだけど、ちょうど2016年3月に日本人のみ現地空港でのアライバルビザの取得が可能になった。職員がそのことを知らなくて相手にしてくれなくて大分手間取ったけど、なんとかその事実を知っている職員を見つけ出して無事入国することができた。その時に聞いた話によると日本はインドへの鉄道技術の支援などによってものすごく感謝されているため、こうやって日本だけの特別措置が取られているんだとか。
アライバルビザの取得には2000ルピー(¥3500円くらい)かかるんだけど、職員には「1日ムンバイに入るためだけに本当にこれを払うのか?」と確認された。現地のインド人にとっては大金なのだけど、旅中の俺からしたら¥3500円でインドを1日観光できるなら安いものだった。ちなみにその日の夜の出国時には「1日しかいないなんて怪しい!」ということで別室で取り調べを受けた。
アルバニアからオーストラリアに飛んだ時もトルコのイスタンブール経由で朝から晩まで1日街を楽しんだ。楽しみすぎてクソ野郎にボッタクリバーに連れて行かれ支払いを断固拒否すると別室に連れて行かれデカイおっさん数人に囲まれて脅されたけど、屈指なかったため数発殴られただけで無事解放され飛行機になんとか間に合ったという良い思い出もある。(この話はまた今度書こう。。笑)
ちなみにそんな体験をしたくない人は、ターキッシュエアラインズがわざわざ6時間以上の長時間乗り換えの人のためにイスタンブール市内ツアーを無料で用意してくれているのでそれを使おう。なんとご飯も無料でついてくる。(地球の歩き方のwebに詳細がある)
また、オーストラリアから日本に帰国するときも上海経由だったので、夕方から次の日の朝まで上海の夜の街を観光し、上海で働く仲良しの友人にも会うことができた。
このような体験をしているから、せっかくトランジットするならということで、わざわざ乗り換えが数十時間あるチケットを俺は積極的に選ぶ。
デメリットとなるような機内食の廃止は、味も栄養価もイマイチの機内食で腹を膨らませるくらいなら到着してから空腹という最高のスパイスとともに現地の食べ物を食べたい派の俺には関係ないし、ジャングルの奥地でテント無しで野宿していた環境に比べたら簡素なターミナルだろうと狭い座席だろうとものすごく快適だ。チケットだって代理店で買うよりもネット買ったほうがこちらとしても楽だ。LCCはデメリットがない。
(こうして書き起こすとこれらに関してはだいぶ個人的な見解だな。。)
格安航空券は、ちゃんと目的地まで連れて行ってくれる上に他の国まで見せてくれるのだ。使わない手はない。
「サピエンス全史」の著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏はインタビュー(外部リンク)でこう語る。
「数千年の単位で歴史を見ると、人類の歴史が「統一」の方向で進んできたことは明らかです。
巨視的に見れば、地球の各地に数千の部族が点在していた時代が続いた後、数ヵ所に古代文明が誕生し、人類を統合していく流れが続き、いまでは地球全体が一つの「グローバル・ヴィレッジ」になっています。
いま人類は、一つの巨大なコミュニティに属しており、世界全体が密接につながっています。
現代人の世界観は、世界のどこに行っても、ほぼ同じです。サウジアラビアのような国もありますが、基本的なものの考え方は、どこの国に行っても、あまり変わりません。
国が変われば、物質や人体の理解の仕方も変わるわけではありません。東京のがん患者も、テルアビブのがん患者も、トロントのがん患者も、微妙な差異はあるかもしれませんが、基本的には同じように診断され、同じような治療を受けることになります。
しかし、1000年前は、そうではなかったのです。1000年前は、国が変われば、物質の理解の仕方も、人体のとらえ方も、病気の治療法も異なりました。」
世界を往来するハードルを下げてくれた飛行機の技術向上とLCCによるコスト削減。
これも世界の大きな流れの中のひとつなのだなと感じます、という壮大なスケールの締めくくりで、以上、格安航空券の魅力についてお送りしました。
長期的スパンでみるとまだ移住生活を続ける俺はこれからもLCCにお世話になりますm(_ _)m
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