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2019.01.2

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レビュー

えらいてんちょう「しょぼい起業で生きていく」は少数派のための救済案だ

えらいてんちょう氏の本が12月16日に発売されました。早速読みました。

「しょぼい起業」の新しさ、えらてん氏のカリスマ性がすごいという話をします。

 

「しょぼい起業で生きていく」という次代の起業論

えらてん氏の経歴を簡単に記すと、学生時代にリサイクルショップを始め、そこから東京を拠点に様々な店舗型のビジネスを展開。「イベントバーエデン」というバーは池袋からスタートし、1日バーテンという画期的なシステムがSNS上で話題を集め人気店となり、今では大阪・名古屋・京都・札幌・福岡・広島に支店がある。といった超すごい経営者。これでまだ28歳という…。

私はえらてん氏のファンであり、発売がアナウンスされた時からこの本を読むのが楽しみでした。

以下は書評と感想。

 

目から鱗の起業論

しょぼい起業論を要約するとこうです。一般的に大変なコスト・労力がかかると言われる起業をしょぼい金額と規模で始めよう、運用していこう。

えらてん氏がこれまで実践してきたことが再現可能なものとして紹介されています。

様々な話が取り上げられていますが、特に、店舗は最高の広告、生活の資本化、商品の値段の決め方、従業員を雇わずに行う正しいやりがい搾取、この辺の話は目から鱗です。

(広島のドットコミュも正しいやりがい搾取を行っているなと思った次第 笑)

そして借金玉氏との対談で出た『草むしりの話』がしょぼい起業の真髄ではないかと思いました。

身の回りのしょぼいことを大事に扱い、信用を積み重ねていこう。ということですが、これは起業のみの話ではないですね。

えらてん氏は今回の書籍発売に際して各地の書店に挨拶回りをしています。これもしょぼい起業の実践のひとつなわけです。詳しい内容はぜひ買って読んでみてください。

要するにこの本は、誰にでも出来ることを大切にし、誰にでも出来るレベルでちゃんと実践しいこう、ということなのです。

 

大きな夢がなくていい。生きていければいい。

商売ってみんな昔は当たり前のようにやっていたんですよね。

たとえ雇われの従業員でも、「自分の人生における社長」であることは間違いありません。

この本には人間の営みの本質が語られています。

自営業・サラリーマン関係なく読む価値があります。

 

「しょぼい起業で生きていく」が掲げるしょぼい起業論には、社会を変革するといった動機は存在しません。

起業にはそういったイメージがありますが、えらてん氏が述べることは違います。

 

「夢・野望がなくても、誰も持っていないような能力がなくても、サラリーマンとして働くのが死ぬほどしんどくても、自分で事業を興して食っていくことは出来るんだよ」という、どちらかといえば社会における少数派に向けた救済案を提示しているような感触を得ます。

僕はえらてん氏のこの感覚こそが、彼の周りに人が集まる理由ではないかと思うわけです。

 

「えらいてんちょう」という次代のカリスマ

えらてん氏は全国レベルの知名度ではないものの、熱狂的なファンが多いです。

僕がえらてん氏を知ったきっかけはというと。僕は村上龍という作家の小説をよく読み、とりわけ「愛と幻想のファシズム」は稲妻に打たれた作品なんですが、ある日Twitterで不謹慎マンという北海道大学の学生が愛と幻想のファシズムについてよく言及しているのを発見して以来フォローしていました。

その不謹慎マン氏が東京のバーの支店を札幌に開くということで、「イベントバーエデン」「えらいてんちょう」という存在を知りました。今年の春くらいですね。

それから僕はえらてん氏の魅力に取り憑かれました。(だが会ったことはないしエデンに行ったこともまだない。本が出版される前に行けばよかった)

えらてん氏は超強力な磁石であり、様々な人たちがオンライン上でもお店にも集まっています。

Twitterを見る限り、えらいてんちょう氏のコミュニティ圏は相当広いです。文字通り日本中にいる。圏内の人たち全員をフォローしていたらタイムラインが完全に埋まってしまいます。

 

どことなく漂う界隈の宗教性

界隈にいる人たちはインテリな人たちが多いですね。そしてみんなTweetの頻度が高い。団結力も強く、彼らの怒りを買ってしまったら本当にやばいぞという感じがします。

それからADHDや鬱病や統合失調症の人や希死念慮を持った人を見ます。

えらてん氏のコミュニティは、村上龍が描いてきたような「少数派」だけが持つ「虚無」に共鳴できる場所なのかもしれません。

界隈には若くして億単位の資産を手に入れた人や、1万越えのフォロワーを抱えた人、経営者も集まっています。

巨大な力や金を集めることができるのは、えらいてんちょうがカリスマである証明です。

まさに「愛と幻想のファシズム」の狩猟社のような界隈なように見えて、僕はワクワクしてしまいます。もちろん、えらてん氏がトウジ。

トウジは狩猟をベースにした思想で政治結社を作り、官僚や株屋やテロリストや天才プログラマや自衛官を取り込み、日本中を湧かし独裁者として君臨しますが、えらてん氏はどうなっていくのでしょうか。非常に興味深いです(※テロをしてほしいとかでは決してない)。

 

えらいてんちょうという人物はそう簡単に書ききれません。彼のブログがとても面白いので気になった方は見るといいです。

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