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2018.05.16

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レビュー

朝井リョウ「何者」 2つのセリフが伝える若者の在るべき姿

nanimono

第148回直木賞受賞、映画化もされている小説「何者」

ある日この本の存在を知り、2012年に話題となったらしいこの作品のamazonレビューを確認して面白そうなのでポチった。

しばらく本棚に放置していたのだが、昨日時間を持て余して久々に手に取った。

就活生が自分が何者なのかに葛藤するという内容らしきこの本に、どこか惹かれたタイミングだったのかもしれない。

読んで見た結果、4人の男の登場人物たちに自分を重ねて考えさせらることが多かったので、読み終わったこのタイミングでここにまとめようと思った。

特に男の登場人物に対して向けられた女の登場人物の物語終盤の二つのセリフ(後述)が俺には響いた。

主人公視点の思考、登場人物の会話、登場人物のSNS投稿、という3つの要素で現代日本の就活生を描き出すこの斬新な小説で作者「朝井リョウ」は何を表現し、何を伝えたかったのだろうか。(ネタバレあり)

 

概要

登場人物は主に5人の同じ大学に通う就活生。

拓人
演劇サークルに所属。人に対して観察と分析ばかりしている。本当に思っていることはほとんど口にしない(できない)。

光太郎
軽音サークルでバンドを組んでいた。大人数の飲み会などでは場を盛り上げるピエロになれるような明るい面を持ちつつも、余計なことは口にしないクールな面もある。拓人とルームシェアしている。

瑞月
光太郎の元カノ。拓人は密かに瑞月に思いを寄せている。素直に人を「すごい」と思える純粋な眼の持ち主。その場にいらない言葉を、自分を守るためにわざわざ言ったりはしない。

理香
拓人と光太郎の部屋の一階上に住んでいる。プライドが高く、「留学」「学生ボランティア」「学祭実行委員会」などの肩書きを持ち、典型的な”意識高い系”として描かれる。

隆良
理香と同棲している彼氏。就活はしない。(実はひっそりしていたりもする)。就活生を”社会の渦に飲まれただけの奴ら”だと考え、自分は自分の道を生きていく、というようなスタンスを取る。

そして、もう一人実際には登場しないがギンジという重要な人物がいる。

ギンジ
拓人の元演劇の相方。拓人と一緒に劇団を作ろうとしていたが、考え方の違いから仲違いすることになる。大学を辞めて劇団を立ち上げ毎月自ら公演を打っている。その演劇は2ちゃんねるで叩かれていたりする。

冒頭の登場人物紹介ページはこのようなTwitterプロフィール形式になっている。

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物語は、主人公拓人の言葉として発しなかった思考(「」がない部分)と、実際に登場人物たちによって言葉にされたセリフ(「」がある部分)と、各登場人物のTwitterへの投稿という3種類の文章で構成されている。

就活開始時期の11月頃から翌年の4月頃までの5人の就活を中心とした生活のストーリー。

それぞれの人物の台詞や仕草や行動や結果などがあまりにもリアリティを持って描かれているため、シーンや感情がものすごく想像できる小説。

 

隆良は人を見下すことで自分を守り現実から目を背けて逃げているだけだった

就活生たちが使うワードをあえて、自分なりの違った言い回しにして(それもそういう人種がよく使うような言い回しなんだけど)個性を主張するような隆良。

「何者」の中のセリフは基本的に短くポンポン会話が進んでいくのだが、2つだけ長いセリフがあり、そのどちらもがこの小説の核心だと俺は思っている。

そのうちの一つが、この普段は素直で人を全く不快にさせないような瑞月が、ギンジと企画していた個展が「なくなった」という隆良に向けて言う、この言葉だ。

隆良くんのその考え方は、たくさんたくさん考え抜いたうえで生まれたものなんだよね?
そうだったら、いい。だけどもし、そうじゃないんだったら聞いてほしい
私ね、わかったことがあるの
最近わかったんだ。人生が線路のようなものだとしたら、自分と全く同じ高さで、同じ角度で、その線路を見つめてくれる人はもういないんだって
生きていくことって、きっと、自分の線路を一緒に見てくれる人数が変わっていくことだと思うの
今までは一緒に暮らす家族がいて、同じ学校に進む友達がいて、学校には先生がいて。常に、自分以外に、自分の人生を一緒に考えてくれる人がいた。学校を卒業するって言っても、家族や先生がその先の進路を一緒に考えてくれた。いつだって、自分と全く同じ高さ、角度で、この先の人生の線路を見てくれる人がいたよね
これからは、自分を育ててくれた家族を出て、自分で新しい家族を築いていく。そうすれば、一生を共にする人ができて、子どもができて、また、自分の線路を一緒に見てくれる人が現れる
そういうことだと思うんだ。自分以外の人と一緒に見てきた自分の線路を、自分ひとりで見つめるようになって、やがてまた誰かと一緒に見るめる日が来る。そしてそのときには、その大切な誰かの線路を一緒に見つめてるんだよね
だからこれまでは、結果よりも過程が大事とか、そういうことを言われてきてたんだと思う。それは、ずっと自分の線路を見てくれてる人がすぐそばにいたから。そりゃあ大人は、結果は残念だったけど過程がよかったからそれでいいんだよって、子どもに対して言ってあげたくなるよね。ずっとその過程を一緒に見てきたんだから。だけど
もうね、そう言ってくれる人はいないんだよ
私たちはもう、たったひとり、自分だけで、自分の人生を見つめなきゃいけない。一緒に線路の先を見てくれる人はもう、いなくなったんだよ。進路を考えてくれる学校の先生だっていないし、私たちはもう、私たちを産んでくれたときの両親に近い年齢になってる。もう、育ててもらうなんていう考え方ではいられない
私たちはもう、そういう場所まで来た
ギンジくんとの企画の話がなくなった、っていう言い方ひとつとってもそう。まるで自分とは全く関係のないところで話が消え失せたみたいな言い方したよね。何それ、そんなの、地球温暖化で南極の氷がなくなった、っていうニュースと同じじゃない。自分は何もしてないけど、何かの現象がきっかけでなくなった、って、そう言いたいの?したこともないくせに、自分に会社勤めは合ってない、なんて、自分を何だと思ってるの?会社勤めをしている世の中の人々全員よりも、自分の方が感覚が鋭くて、繊細で、感受性が豊かで、こんな現代では生きていき辛いなんて、どうせそんなふうに思ってるんでしょ?
そんな言い方ひとつで自分を守ったって、そんなあなたのことをあなたと同じように見てくれる人なんてもういないんだよ。あなたが歩んでいる過程なんて誰も理解してくれないし、重んじてない、誰も追ってないんだよ、もう
バイトのことを『仕事』って言ってみたり、あなたの努力が足りなくて実現しなかった企画を『なくなった』って言ってみたり、本当はなりたくてなりたくて仕方がないはずなのに『周りからアーティストや編集者に向いているって言われてる』とか言ってみたり、そんな小さなひとつひとつの言い方で自分のプライドを守り続けたって、そんな姿、誰も知らないの。誰も追ってくれていないの
隆良くんは、ずーっと、自分が今やっていることの過程を、みんなに知ってもらおうとしてるよね。そういうことをいつも言ってる。誰かと知り合った、誰かの話を聞いた、こういうことを企画している、今こういう本を読んでいる、こういうことを考察している、周りを自分にこういうことを期待してる
十点でも二十点でもいいから、自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから。これから目指すことをきれいな言葉でアピールするんじゃなくて、これまでやってきたことをみんなに見てもらいなよ。自分とは違う場所を見てる誰かの目線の先に、自分の中のものを置かなきゃ。何度も言うよ。そうでもしないともう、見てもらえないんだよ、私たちは。百点になるまで何かを煮詰めてそれを表現したって、あなたのことをあなたと同じように見ている人はもういないんだって

地方から父親に浮気されたと思い込み娘のところに逃げてきたメンタルの弱い母親と暮らすことになり、大企業のエリア職(母親のために転勤が少ない選択を取った)に内定した瑞月が、初めて感情的になったこのセリフ。

仲違いしたギンジと重ねて隆良を軽蔑していた拓人も続けて言う。

頭の中にあるうちは、いつだって、なんだって傑作なんだよな
お前はずっと、その中から出られないんだよ

しかし、実は拓人も自分の間違いに気がついていなかった。

 

拓人も自分を守って逃げているだけだった

拓人は、昔仲違いしたギンジを見下していた。でかい夢を掲げ、ブログで努力の過程をアピールし、2ちゃんねるで叩かれる公演を毎月打っているギンジを痛いと思っていた。

そして、隆良もギンジと同じようなものだと思っていたし、その彼女の理香のことも意識高い系のイタいやつだと思っていた。

「何者」は拓人の視点で描かれているため、拓人への人からの視点というのは物語全体を通して表現されることは少ない

しかし物語終盤、スマホで光太郎の内定先やギンジの公演が叩かれている2ちゃんねるを閲覧していることがバレたことがきっかけで、見下していたはずの理香に拓人はこう言われる

……私、拓人くんに内定が出ない理由、わかるよ
ずっとわかってたよ、そんなこと
拓人くんはさ、自分のこと、観察者だと思ってるんだよ。そうしてればいつか、今の自分じゃない何かになれるって思ってんでしょ?
そんなんだから就活二年目になっても内定ゼロなんだよ
みんなやさしいから、あんまり触れてこなかったけど、心のどこかではそう思ってるんじゃないかな。観測者ぶってる拓人くんのこと痛いって
こんなことばっかり検索してるんだね。総文書院、ブラック、アマチュア劇団掲示板、これあれでしょ、ギンジくんだっけ?友達がやってる劇団が叩かれてる掲示板でしょ?
本当は、誰のことも応援してないんだよ。誰がうまくいってもつまらないんでしょ。拓人くんは、みんな、自分より不幸であってほしいって思ってる。その上で自分は観測者でありたいって思ってる
私はあんたと一緒じゃない
だってあんた、ほんとは私のこと笑ってるんでしょ?
そこが違う。私は拓人くんのことを笑ってはいない。かわいそうだとは思ってるけどね
でも、性格が悪いところは同じかもね
私、ずっと読んでたよ、あんたのもうひとつのツイッターのアカウント
メールアドレスで検索したら、すぐ出てきたよ
知ってるよ、私。あんたもきっと知ってるように、隆良がもうひとつのアカウントを持ってることだって知ってるし、あんたがもうひとつのアカウントで好き勝手いろんなこと書いてるのだって知ってる
私、あんたはもうひとつのアカウントにロックかけたりツイートを消去したりなんかしないってわかってたよ
だってあんた、自分のツイート大好きだもんね。自分の観察と分析はサイコーに鋭いって思ってるもんね。どうせ、たまに読み返したりしてるんでしょ?精神安定剤、手放せるわけないもんね
たまーに見知らぬ人がリツイートしてくれたりお気に入り登録してくれたりするのが気持ちよくて仕方がないかったんでしょ?誰か他人から見られないようにロックもしなかったんだよね
ずっと前には、書いてたよね。想像力がない人は苦手、だったっけ?それって、自分のことじゃん。まさかこれが私に読まれてるなんて、全然想像してなかったんでしょ?
私はね、誰かのことを観察して、ひそかに笑って、それで自分が別の次元に立っているなんて錯覚したりしない。絶対しない。あんたと私は全然違う
あんたずっと、私のこと笑ってたんでしょ?
言ってあげようか?いつだったかな、知り合ってすぐ、みんなでES書いたりした日、あんたが何て書いてたか
【宅飲みなのに、きれいな食器しか出てこない。どうして割り箸や紙皿が出てこないのか。あのふたりはきっと、お互いに格好つけたまま一緒に暮らしてしまっている。男の方は部屋着のくせにチノパンにきれいなシャツ。格好悪いところをお互いに見せることができていない。一緒に暮らすって、そういうことじゃないと思う】だっけ?
何度も何度も読んだからさ、もう覚えちゃった
初めて会ってアドレス交換したとき、もしかして、って思って検索したよ。あんたみたいなやつは、アカウントをもう一つ持ってることが多いから。言葉ひとつひとつが、自分は冷静な観測者ですって言ってたもんね。何だっけ、就活はトランプでいうダウトみたいなもの、だっけ?そんなこと偉そうに語ってたよね。就活一年目で盛り上がる君たちを俯瞰する観測者の俺、って感じ、すごく出してたもんね
私と瑞月がキャリアセンターにせっせと通ってる時も、自分だけそんなに夢中じゃない振りしてたよね。隆良が瑞月のESにコメントしてるときだって、ニヤニヤしてさ
本当は瑞月のことも光太郎のことも隆良のことも、笑ってるんでしょ?
留学のことだって、インターンのことだってボランティアのことだって名刺のことだって、本好きでもない光太郎くんが出版社目指してることだって隆良が分厚くて難しそうな本をずっと読み終わらないことだって、何もかも丸ごと笑ってたんでしょ?
あんたは、誰かを観察して分析することで、自分じゃない何者かになったつもりになってるんだよ。そんなの何の意味のないのに
拓人くんは、いつか誰かに生まれ変われると思ってる
あきらめるふりして、あきらめきれてない。今年だって、周りにはもうあきらめたって言いながら、実は演劇を取り扱ってる企業をこっそり受けたりしてる。この鋭い、自分だけの観察力と分析力で、いつか、昔あこがれたような何者かになれるって、今でも思ってる
いい加減気づこうよ。私たちは、何者かになんてなれない
自分は自分にしかなれない。痛くてもカッコ悪い今の自分を、理想の自分に近づけることしかできない。みんなそれをわかってるから、痛くてカッコ悪くたってがんばるんだよ。カッコ悪い姿のままあがくんだよ。だから私だって、カッコ悪い自分のままインターンしたり、海外ボランティアしたり、名刺作ったりするんだよ
今の自分がいかにダサくてカッコ悪いかなんて知ってる。海外ボランティをバカにする大学生や大人が多いことも、学生のくせに名刺なんか持って、って今まであった大人たちが心の中できっと笑ってることも、わかってる
笑われてることだってわかってるくせに、そんなことしてるのはなんでだと思う?
それ以外に、私に残された道なんてないからだよ
ダサくてもカッコ悪い自分を理想の自分に近づけるようとすることしか、もう私にできることはないんだよ
ダサくてカッコ悪い今の自分の姿で、これでもかってくらいに悪あがきするしかないんだよ、もう
自分は自分にしかなれないんだよ。だって、留学したってインターンしたってボランティアしたって、私は全然変わらなかったんだもん。憧れの、理想の誰にもなれなかった。貧しい国の子どもと触れあったり、知らない土地に学校を建てたりした手でそのまま、人のアドレスからツイッターのアカウント探したり、人の内定先をネットで検索したりしてる。それがブラック企業って噂されてるようなところだったら、ちょっと、慰められたりしてる。今でも、ダサくて、カッコ悪くて、醜い自分のまま。何したってね、何も変わらなかった
だけどこの姿であがくしかないじゃん
だから私は誰にどれだけ笑われたってインターンも海外ボランテイアもアピールするし、キャリアセンターにだって通うし自分の名刺だって配る。カッコ悪い姿のまま、がむしゃらにあがく。その方法から逃げてしまったらもう、他に選択肢なんてないんだから
拓人くんはそれをわかってない
わかってない
全然、わかってない
いつか何かのきっかけで自分は変われると思ってる。未練たらたらで演劇系の企業を受けてたのだって、どっかで『君は他の子と違って面白い考え方をしてるね』なんて評価されることを期待してたんじゃないの?そんなエピソードはね、誰のところにだって降ってこないんだよ
拓人くんはいつも、少し距離を置いたところで私たちの戦いを眺めてる。自分はあんなカッコ悪いことをしなくたっていいはずだって、心のどこかで思ってる
だから、ギンジくんの定期公演だって観に行けないんでしょう?カッコ悪い姿のまま本当にあがくことができている人を見るのが怖いから。本当は自分にもその方法しか残っていないってことを、思い知るのが怖いから。距離をとって、アマチュア演劇掲示板なんていう遠く離れたところからギンジくんのこと観察してる。またお得意の観察だよね
誰に何を言われても、一ヶ月に一度公演をし続けてるなんて、最高にカッコ悪くて最高に正しい姿じゃない。あんたが観測者のまま臨んで失敗した就活に費やしたこの一年間、ギンジくんは十二回も公演をしてたってことだもんね。いくらつまらないって叩かれても、他人に点数をつけてもらうことを絶対にやめなかった。あんたができなかったことを、ギンジくんはずっと実行し続けてる。その真摯さに立ち向かえないあんたを唯一許してくれる場所なんだよね、あの掲示板
痛くて、カッコ悪い姿であがき続けるっていうことを、私たちに残された最後の方法を、ギンジくんは実行し続けてる
私と隆良の同棲だって、否定しないと気が済まなかったんだよね。きれいな食器しか使えない、部屋の中でもきれいな服しか着られない私たちは、観測者の視点から見たらさぞカッコ悪かっただろうね。彼女は海外ボランティアとかインターン、彼氏はただの学生のくせに現代アートのコラムの執筆。めちゃくちゃカッコ悪い私たちが、それを乗り越えて仲良く暮らし続けるなんてそんなこと、許せなかったんだよね
ギンジくんがネットで叩かれながらも毎月絶対に公演をしている姿も、私がダサい自己アピールをしながらも就活を頑張ってることも、笑ってないともうまっすぐ立っていられないんだよね、拓人くんは
私のことだって散々書いてたね。肩書きばかりの名刺、よくこんなもの配って歩けるなって。だけど本当は、そんなカッコ悪いことすらできない自分に向き合いたくないだけなんでしょう?
距離をとって観測していないと、頭がおかしくなっちゃいそうになるんだもんね。でもね、そんな遠く離れた場所にひとりいたって、何も変わらないよ。そんな誰もいない場所でこってりと練り上げた考察は、分析は、毒にも薬にも何にもならない。それは、誰のことも支えないし、いつかあんたを助けたりするものにも、絶対ならない
観察者ぶってても、何にもならないんだよ
隆良の【備忘録】も、確かに結構痛いけどさ
拓人くんのもうひとつのアカウント名、私、悲しくなっちゃったよ
思ったことを残したいなら、ノートにでも書けばいいのに、それじゃ足りないんだよね。自分の名前じゃ、自分の文字じゃ、ダメなんだよね。自分じゃない誰かになれる場所がないと、もうどこにも立っていられないんだよね
心の中で思ってることって、知らず知らずのうちに、相手に伝わってるもんだよ。どれだけちゃんとスーツ着てても、どれだけもうひとつのアカウントを隠しても、あんたの心の内側は、相手に覗かれてる
カッコ悪い姿のままあがく事ができないあんたの本当の姿は、誰にだって伝わってるよ。そんな人、どの会社だって欲しいと思うわけないじゃん
そうやってずっと逃げてれば?カッコ悪い自分と距離を置いた場所で、いつまでも観測者でいれば?いつまでもその痛々しいアカウント名通り【何者】かになった振りでもして、誰かのことを笑ってなよ。就活三年目、四年目になっても、ずっと
……でも、私だって、同じようなものなのかもね
私だって、ツイッターで自分の努力を実況中継していないと、立っていられない
もう、立っていられないんだよね

 

 

物語の最後、拓人が面接で言うセリフ

最後のグループ面接のシーン、拓人は短所を聞かれてこう答える。

短所は、カッコ悪いところです

そして、長所を聞かれて、このセリフ。

長所は、自分はカッコ悪いということを、認めることができたところです

 

「何者」が伝えるメッセージ

それまでのそれぞれの人物の描写とこの二つのセリフに「何者」の伝えたいメッセージが詰まっていると感じた。

 

自分は自分としてもがき”続ける”しかない。

自分のちっぽけなプライドを守るために人を見下し、笑い、批判するのではなく、

カッコ悪いところを曝け出しながら、今よりちょっと理想的な自分になろうと努力するしか道は残されていない。

 

では、何に対してもがき、努力を重ねていけばいいのだろう。

それは、自分で決めるしかない。

絵描きの友人が言っていた言葉を思い出した。

「やりたいからやってるだけじゃなくて、やると決めたからやっている」

やりたいからやる、だけじゃダメだ。

やると決めて、こう生きると決めて、頭と感情だけで完結せずに行動に移していくしかないのだ。

 

 

 

こうやって本のレビューとして引用部分を書き起こすとと写経みたいになっていい

この物語・やりとりを描き切った朝井リョウ氏は一体どんな人生を歩んできたのだろう

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